「遊離石灰」と「エフロレッセンス」の違い

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遊離石灰とエフロレッセンス、仕事や研究でコンクリートに関わったことのある方なら、聞いたことがあるでしょう。

よく、「遊離石灰を英語にするとエフロレッセンスだ」とか、「遊離石灰は昔の言い方で、カッコよく言うとエフロレッセンスだ」とか、いろんな説が巷には溢れています。

また、ネットで検索してみても、この2つはほぼ同様の意味で書かれている場合がほとんどです。

この二つは同じモノなのか違うモノなのか?いったい何が本当なのか?構造上問題はないのか? など解説も含めて書いていきたいと思います。

そもそもどんなもの?

厳密性を欠いた表現になりますが、遊離石灰やエフロレッセンスは、コンクリート構造に漏水があることなどが原因で、石灰分が流れ出て析出することを言います。

コンクリート中の水酸化カルシウムなどのカルシウム分が、コンクリート中を流れる水分によってコンクリートの外に流され、それが空気中の二酸化炭素に触れることによって、炭酸カルシウムとなり、析出して白い”汚れ”のようになります。

そもそも、コンクリートに含まれるセメントの成分にどのようなものがあるのか知りたい方は、こちらの記事を参考にしてください。

関連記事はこちら:早強セメントはなぜ早く固まるのか?-セメントの種類と成分

どのように違うか?

遊離石灰

遊離石灰は、析出した成分そのもののことを言います。

コンクリート中にはカルシウム分がだくさん含まれていますが、その中で、他の物質と結合せずに残っている酸化カルシウムなどの成分を遊離石灰と言います。

ですので、「遊離石灰が析出する」という表現は正しく、「遊離石灰が起こる」というのは誤りです。

エフロレッセンス

遊離石灰が物質、成分だったのに対し、エフロレッセンスはその現象のことを言います。そのため、「エフロレッセンスが発生」は正しく、「エフロレッセンスを取り除く」は誤りです。

「白華現象」とも呼びますが、その名の通り、「現象」ですので、覚えておきましょう。
また、「エフロ」と略されることもあります。

構造上の問題は?

見た目上、コンクリート表面が白くなるので構造上問題がないか不安になりますが、これらが直接的に構造上の問題を引き起こすことはありません

でも、遊離石灰が見られたときに注意すべきことが何点かあるので紹介しておきます。

“みずみち”ができている

エフロレッセンスが起きているということは、水道(みずみち)ができているということ。

部材の”切れ目”でないはずの部分にこの現象が見られる場合は、ひび割れやコールドジョイントなどの原因がある可能性があるので、注意する必要があります。

水密性の求められる構造物などにおいては、水分の移動があった証拠ですので放っておかない方がいいでしょう。

例えば、開削トンネルで見られる遊離石灰などは、漏水が起きている可能性が高いので、止水処理が必要になります。

疲労や塩害の可能性

これも、石灰分が直接悪さをするわけではないですが、水分の通り道ができている以上、ひび割れが生じていることは頭に入れておかなければならないでしょう。

例えば、橋梁の床版下面などで、昔遊離石灰が見られなかったところで遊離石灰が確認できるようになれば、繰り返し荷重によるひび割れが発生していると考えられます。

また、塩害環境下の構造物であれば、ひび割れがあることにより塩分の侵入が進みやすくなっているはずなので、注意が必要でしょう。

美観への影響

土木構造物ではエフロレッセンスはよく見られるものの、それ自体が構造上深刻な問題になることは少ないので、放置されていることが多いです。

でも、街の景観を考えるとどうでしょうか?ちょっと嫌ですよね。

公共性の高い構造物ではもちろんお金の無駄遣いは許されないので、見た目まで良くすることまではできていないのが現状です。

しかし、土木構造物は「街」の一部です。近い将来は、街の一部としての景観を土木構造物が責任をもって守るために、これらをなくす工夫も必要になってくると私は考えています。

まとめ

遊離石灰とエフロレッセンスの違いについて書いてきました。

遊離石灰=成分、物質
エフロレッセンス=現象

と覚えておきましょう。

また、これらが見られたからと言って構造上問題はありませんが、その裏に構造物からのメッセージが隠れているかもしれません。

これに気が付くことができる技術者でありたいですね!

コンクリート工学についての記事はこちらにまとめていますので、ぜひご覧ください。

関連記事はこちら:コンクリート工学に関する記事一覧

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