技術士2次試験の必須科目では、建設に関する専門的な知識だけでなく、かなり広範囲の知識や一般常識のような内容も理解しておかなければなりませんね。
技術者として、世の中の流れを知っておくことは重要ですし、自分の仕事や知識がどのように世の中に役に立つのかを把握しておく必要もあります。
と言いながら、なかなか普段触れない内容だと馴染みもなく、意味が理解できない・・・整理ができない・・・と言う人も多いのではないでしょうか?
私もそうでした。
その反省を活かし、過去問に登場したことのある、なかなか覚えにくいアルファベットで略される専門用語をまとめてみました。
是非ご覧いただき、頭の整理に役立ててください!
技術士試験の頻出用語(アルファベット順)
BCP
BCPとは、” Business Continuity Plan ” の略で、事業継続計画と訳されます。
大規模地震を始めとする自然災害や事故などの発生時に、事業体においてできるだけ業務を中断することなく、通常業務に復帰できるように平常時から戦略的に準備しておく計画のことを言います。
BRT
BRTとは、“ Bus Rapid Transit “ の略で、バス高速輸送システムと呼ばれています。
連節バス( 大量輸送のために車体が2連以上につながっているバス )、PTPS(公共車両優先システム・下記参照)、バス専用道、バスレーン等を組み合わせることにより、速達性・定時性の確保や輸送能力の増大が可能となる高次の機能を備えたバスシステムのことです。
CAD
CADとは、” Computer Aided Design “ の略で、あまり言われませんが、日本語ではコンピュータ支援設計となります。
CAD自体はコンピュータを使用して設計や製図をするシステムであり、以下の3点の特徴(メリット)があります。
- 製図作業や図面作成が時間はかかるが正確に処理できる
- 編集が容易である
- データ化、ソフト間の互換性がある
- 10年程度の学習期間で技術修得が可能になる
最近の設計図はだいたいCADが用いられていますね。
土木の世界では3DCADがこれからどのように用いられるようになるのかが楽しみです。
CM
CMとは” Construction Management “ の略で、CM方式とも呼ばれます。
民間あるいは公共の建設工事において、発注者の代理人または補助者として発注者の利益を確保する立場から、品質管理、工程管理、費用管理等を行う方式のことです。
職能分化や機能分散が背景にあり、「設計者」や「施工者」といった利害関係者と思われる者がプロジェクト全体をマネジメントするのではなく、第三者性を持つ専門職がマネジメントの役割を担うことが求められました。
この専門職が「コンストラクション・マネージャー(CMr)」であり、CMrが参加してプロジェクトを実施する方式がCM方式と呼ばれます。
DB
DBとは、” Design Build “ の略で、デザインビルド、設計・施工一括発注方式と呼ばれています。
受注者が発注者との単一契約の中で設計と建設施工の両方を手掛ける手法のことを言います。
発注者が工事目的物の概略の使用や性能を契約者に提示することにより、契約者の有する技術や施設の特徴を活用しやすい設計を可能することによって、新技術の活用やコストの低減を図ることを目的としています。
メリット
- プロジェクト全体の責任が明確にできる
- 設計及び建設の契約責任を1つに集約できる
- 工期の短縮が可能
- 設計に施工の専門知識が反映される
- 設計と施工の継続性が得られる
デメリット
- 積算基準が一定でないために契約者を厳密に比較できない
- 設計の品質が直接施工者の利益に影響する
- 一体化されたサービス契約における利害矛盾の可能性がある
- 意思決定の際にチェック&バランスが働かない
GIS、GPS
GISとは、” Geographic Information System“の略で、「地理情報システム」と訳されています。
GPSとは、 “Global Positioning System“の略で、「汎地球測位システム」と訳されます 。
2者は違うものを指しますので、詳しくは以下をご覧ください!
ISO
ISOとは、“ International Organization for Standardization “ の略で、国際標準化機構のことをいいます。
国際間の取引をスムーズにするために共通の基準を決めることを目的とした規格を定めており、ISO規格と呼ばれています。
建設部門以外でも様々な産業で用いられていますが、建設部門に密接に関連するものもたくさんあります。
詳しくはこちらをご覧ください。
NPM
NPMとは、” New Public Management “ の略です。
民間企業における企業理念、手法、成功事例などを公共部門に適用し、そのマネジメント能力を高め、効率化・活性化を図る、という考え方のことを言います。
基本3原則として、以下の3点が挙げられます。
- 競争原理の導入
- 業績による成果主義
- 政策の企画立案と実施執行の分離
後述のPPPとPFIもこのNPMという考え方に含まれます。
TDM
TDMとは、“ Transportation Demand Management “ の略で、交通需要マネジメントと訳されます。
都市または地域レベルの道路交通混雑を緩和するため、道路利用者の時間の変更、経路の変更、手段の変更、自動車の効率的利用、発生源の調整等により、交通需要量を調整する手法のことを言います。
具体的には、鉄道利用への移行や、カーナビによる渋滞情報提供、ロードプライシング等の取り組みが考えられます。
PI
PIとは、” Public Involvement “の略で、日本語では「住民参画」と訳されます。
施策の立案や事業の計画・実施等の過程で、関係する住民・利用者や国民一般に情報を公開した上で広く意見を聴取し、それらに反映することを言います。
1990年代くらいまでは高速道路や発電所の計画で、行政が計画してから住民に対して協議を行うのが普通の流れでしたが、その後、計画の段階から住民に一緒に参加してもらう方法が用いられる場合が出てきたようです。
PFI
PFIとは、” Private Finance Initiative “ の略です。
公共施設等の建設、維持管理、運営等を民間の資金、経営能力及び技術的能力を活用して行うという手法です。PFIを導入することにより、コスト削減、質の高い公共サービスの提供を図ることができます。
元々はイギリスではじまった方式で、PFI事業で成果をきちんと出すためには、以下の性格が求められます。
- 公共性原則
- 民間経営資源活用原則
- 効率性原則
- 公平性原則
- 透明性原則
- 客観原則
- 契約主義
- 独立主義
なお、我が国では、「民間資金等の活用による公共施設等の整備等の促進に関する法律」(PFI法)が平成11年7月に制定され、平成12年3月にPFIの理念とその実現のための方法を示す「基本方針」が、民間資金等活用事業推進委員会(PFI推進委員会)の議を経て、内閣総理大臣によって策定され、PFI事業の枠組みが設けられたそうです。
また、後述の、VFMはPFI事業の基本原則です。
PPP
PPPとは” Public Private Partnership “の略で、官民連携とも呼ばれます。
前述のPFIはPPPの代表的な手法の1つですが、PPPとは、民間資本や民間のノウハウを活用し、効率化や公共サービスの向上 を目指すものとされています。
PTPS
PTPSとは、” Public Transportation Priority System “ の略で、日本語では公共車両優先システムと呼ばれています。
バスなどの公共車両が、優先的に通行できるように支援するシステムで、バス専用・優先レーンの設置や、違法走行車両への警告、優先信号制御などのことを言います。
VFM
VFMとは、” Value for Money “ の略です。
経済性にも配慮しつつ、公共事業の構想・計画段階から維持管理までを通じて、投資(money)に対して最も価値の高いサービス(value)を提供することを言います。
PFI事業で最も大切な考え方の1つですね。
まとめ
本記事で書いた内容を表にまとめました。
ちょっとド忘れしてしまった時などに役立ててください!