土木の世界で花形とも言える橋=「橋梁(きょうりょう)」。
道路や鉄道、ガスや上下水道など、様々な用途で橋梁が使われています。
橋梁の形式も様々で、橋長や支間長、景観などいろいろな条件を考慮して橋梁の形式が決められていきます。
また、人やモノの流れを変えたり、街の景観を左右したりと、大きな存在感を放つ構造物でもあります。
今回はそんな正に土木の花型ともいえる橋梁の種類や構造、特徴についてまとめます。
桁橋(Girder Bridge)
最も単純な構造の橋梁です。
単純に桁を通すだけで成立する構造ですが、支間長が長くなると桁の強度を保つために多くの材料が必要となるため、大型の橋梁には適しません。
そのため、橋脚をたくさん構築できる場合は比較的安価にできるのですが、桁下が航路として使われたり、大規模な交差点があったり、という場合には適用することができません。
比較的支間長を長くする場合は、桁の中間にヒンジを設けたゲルバー桁橋とする場合があります。
全体の曲げモーメントを小さくできる合理的な設計で、一昔前にはかなり多く用いられてきました。
ですが、近年では道路橋などで、建設後数十年経過した後にヒンジ部分で垂れ下がってしまうような現象も確認されています。
ラーメン橋(Rigid Frame Bridge)
ラーメン構造を用いた橋梁の種類で、剛接合で構成されているのが特徴です。
上図はラーメン橋の代表的な形式の1つで、頬杖ラーメン橋と呼ばれています。
山間部の鉄道や高速道路ではよく見られます。橋全体の剛性を高めることができるので、耐震性にも優れています。
桁橋と比べ長い橋梁にも適用できますが、「頬杖」の部分の間が長くなりすぎると、大きな桁にしないと成り立たなくなってしまいます。
アーチ橋(Arch Bridge)
古来から用いられてきた構造で、橋梁の上部や下部にあるアーチによって橋梁を支える構造です。
鉛直方向の力をアーチに生じる圧縮力に変換し、橋梁両端に力を伝えることにより構造が成立します。
そのため、大きな水平力を橋梁の基礎部の地盤や補剛した桁で受け持つ必要があります。
アーチ橋は古くから使われてきた形式の橋で、色々な種類があります。
アーチ橋の種類や分類の仕方については以下の記事で詳しく書いています。
トラス橋(Truss Bridge)
トラス構造を用いた橋梁。
三角形を基本とした構造を組み合わせた構造で、変形しにくいのが特徴です。
各接点は全てピン接合としており、曲げモーメントを伝えないため、各部材では軸力のみが作用しています。ラーメン橋の逆ですね。
トラス橋も古くから用いられてきた構造で、いろいろな種類が考案されてきました。
トラス橋の種類については以下の記事にまとめていますので、より詳しく知りたい方はご覧ください。
斜張橋(Cable Stayed Bridge)
主塔から斜めに張られたケーブルによって橋桁を吊ることによって成立している橋梁です。
主塔にケーブルによって生じる水平方向の引張力は、主塔の左右で相殺されて、鉛直方向の圧縮力が主塔を通じて地盤に伝えられるという仕組みです。
吊橋と混同されやすいのですが、主塔の左右で水平方向の力がつり合うため、アンカレイジが必要ないという違いがありますね。
橋長の長い橋梁に適していますが、主塔からケーブルを直接吊るため、距離が延びるほど主塔を高くしなければならないという欠点もあります。
斜張橋もケーブルの張り方で種類がわかれています。その分類など、斜張橋についてより詳しく知りたい方はこちらをご覧ください。
吊橋(Suspension Bridge)
主塔間を渡るメインケーブルから垂らしたハンガーロープによって橋桁を吊る構造です。
メインケーブルは橋梁の両端にあるアンカレイジという部分に固定されます。
吊橋は山間部における歩道橋などで昔から使われる構造で、橋梁の中で最も長い距離に適した構造と言われています。
まとめ
日本国内にも世界中にもいろいろな種類の橋があります。
その主な種類について紹介してきました。
橋梁形式も様々な条件の基で決められますが、支間長で考えると、
吊橋>斜張橋>トラス橋>アーチ橋>ラーメン橋>桁橋
と言ったところでしょうか。(明確な定義はありません)
街中で見かける橋梁にも、そこにどのような物語があるか、想像して見てみると面白いかもしれません。