コンクリートに入れる材料の中に「混和材」と呼ばれているものと、「混和剤」と呼ばれているものがあります。
二つとも読み方は「こんわざい」ですが、漢字が「材」と「剤」で違いますね。
漢字が違うだけで同じものを指しているのでは?と思われがちですが、実はこの2つは異なるものを指しています。
どう異なるのか?具体的にどのようなものを指すのか?よく混同される二つの言葉について説明していきます。
どのように異なるのか?
混和材と混和剤はどんな違いがあるのでしょうか?
まず、この混和材と混和剤は、総称して混和材料と呼ばれています。
混和材料とは、セメント、水、骨材(粗骨材と細骨材)と共にコンクリート構成する材料で、コンクリートの性質を改善するために用いられます。
またややこしい言葉が出てきたようですが、混和材料のうち、コンクリートの全量に対して使用量が比較的多い紛体系の材料を混和材、使用量が少ない薬剤的な材料を混和剤と呼ぶんです。
すなわち、使用量によって呼び分けられているんですね。
境目がはっきりしないように思われる方もいると思いますが、混和材はコンクリートの配合計算に容量として組み込まれるくらいの量、混和剤は配合計算で考慮しなくてもいいくらいの少量です。
配合計算に容量として考慮されるか否かで使い分けられていると考えましょう。
どんな種類がある?
それでは、混和材と混和剤、それぞれどのようなものがあるのか、具体的に見ていきましょう。
混和材( mineral admixture )
混和材として使用される代表的なものとして、高炉スラグ微粉末、フライアッシュ、シリカヒューム、膨脹材などが挙げられます。
それぞれの混和材の入ったセメントの特徴について詳しく知りたい方は、以下の記事もご覧ください。
混和材と呼ばれるものは、セメントの種類に影響しているともいうことができます。
混和剤(chemical admixture)
続いて混和剤。AE剤、減水剤、AE減水剤、高性能AE減水剤などがあります。
AE剤は空気連行性を高める働きをし、減水剤はコンクリートの流動性を高める働きがありますね。
AE減水剤はAE剤と減水剤の両方の機能を持ち合わせた化学混和剤です。
また、AE減水剤の機能を高めた高性能AE減水剤は、1980年代から開発され始め、1995年にはJISで制定されるなど、一般的に用いられています。
高性能減水剤(AE抜き)という混和剤もあり、高強度コンクリート製品を中心に用いられています。
このような「混和剤」は、正に薬剤として使用されているようなイメージですね。
まとめ
混和材と混和剤、さらには混和材料の違いを説明してきました。それらの違い・位置付けを下の図にまとめています。
文献の中にも区別をつけずに書かれているものや、変換ミスなどで混在してしまっているものがあるので、間違えないように覚えておきましょう。