本記事では、「土留め壁」の役割とその構造、種類について紹介していこうと思います!
土留め壁とは、「どどめへき」と呼ばれ、「土留め」とか「山留め」とかとも呼ばれたりしますが、地中に立てる壁のことを言います。
一般的には仮設材として位置付けられ、それほど注目を浴びる機会が多いわけではありません。
でも、土留め壁の品質は完成後の地下構造物の品質に大きく影響しますし、昔からいろんな工法や種類が開発されてきています。
今回はそんな土留め壁について紹介したいと思います。
土留め壁の役割
地中に構造物を構築したり、函渠を埋設しようとする場合、所定の高さまで地上から「穴」を掘ります。
このときに、ただ穴を掘るだけだと周辺の土が崩れてきたり、地下水が流入してきたりと、トラブルが起こってしまうことが多くなります。
そこで必要となるのが、土留め壁です。
土留め壁は、施工中の地山の崩壊を防ぐ働きを持っています。その名の通り「土」を「留める」役割ですね。
また、最近では土留め壁を本体と一体的に利用するトンネルもあります。
土留め壁の種類
それでは、土留め壁の種類について紹介していきます。
まず、土留め壁自体にどのような種類があるか紹介していきます。
親杭横矢板工法
H鋼を一定の間隔で打ち込み、フランジ部分に木製の板を横向きに這わせて土留め壁とします。
比較的浅いところに構造物を建設する場合や、硬質な地盤で用いられる工法です。
遮水性はないので、地下水が低い場合にしか用いられません。
また、横矢板は穴をあけるなどのちょっとした加工は簡単にできるので、埋設管を通したり障害物を避けるのに利用される場合もあります。
鋼矢板工法
鋼製の矢板(シートパイル)を地中に埋め込んで土留め壁とする工法です。
特徴は、下図のような矢板を継手を通して一体化させ、一枚の大きな板にしていることです。
護岸や止水壁などにも利用されます。
昔から使われている工法で、比較的軟弱な地盤にも適用することができますが、深くまで打ち込もうとすると鉛直に真っすぐ打ち込むのが難しいという特徴もあります。
鋼管矢板工法
鋼管矢板を継手で組み合わせて作った土留め壁。
止水性、剛性が共に大きく、軟弱地盤や海中の橋脚基礎などを構築する際に使用されます。
地中連続壁工法
土留め壁を構築する位置の地盤を、セメント溶液等と撹拌することでできた掘削鋼にH形鋼を挿入することによって連続壁とする工法。(ソイルセメント工法)
遮水性や剛性は比較的高く、比較的規模の大きな開削工事に使われます。
本体構造物と兼用で用いられることも多く、基礎やトンネルの一部となることもあります。
まとめ
土留め壁の中で代表的な種類を紹介してきました。
土留めの剛性や止水性などは、構築する構造物の大きさや地盤の特性、地下水位等、様々な条件によって選定されます。
それぞれの土留め壁の種類の中にも、使う材料や鋼材の大きさで適用範囲が変わってくるので、今回紹介した基本的な分類については最低限頭に入れておけるといいですね。