基礎の種類と分類-地中に隠れた力持ち

住宅を建てる時にも、橋梁を作るときにも、全ての構造物は地面の上に作られます。

でも、ただ地面に構造物を置いているだけでは不安定で、とても使えたものではありません。

あまり土木や建築に関わらない人は興味を持たない部分かもしれませんが、構造物には、地面埋まっている基礎と呼ばれる部分があります。

構造物の大きさ、重さや地盤の強さによって、様々な種類の基礎から最も適した基礎が選定されていきます。

今回は、そんな「縁の下の力持ち」ともいえる基礎についてまとめていきます。

直接基礎

直接基礎とは、橋脚などの底面を通して構造物を直接支持する基礎のことを言います。

浅いところに構造物を支えられるほどの硬い地盤がある場合に用いられます。

国内の大規模な橋梁だと直接基礎のみで支えられているものは少ないでしょう。

なお、直接基礎の場合でもフーチングと呼ばれる地中梁がある場合が多いです。橋脚の根っこにある横にほろがった部分ですね。

フーチングは、構造物の荷重を支える面積を大きくしたり、上に載る地盤の重さによって安定感を増すという効果があります。

フーチングについてはこちらの記事で詳しく解説しています。

普段目にしない「基礎」構造物。なぜ必要なのか?役割は何なのか?よく聞くフーチングとは?など、基本的な内容をまとめています。

一般的には、有効根入れ深さ(Le)と基礎短辺幅(B)の比Le/Bが1/2である基礎のことを直接基礎と呼んでいます。

杭基礎

杭基礎とは、地中深くにある支持層(固い地盤)まで杭を打って構造物を支える基礎のことです。

浅い地盤が軟弱な場合は、直接基礎だけだと構造物を支えきれないため、地中深くの硬い地盤まで杭を打ちます。

杭の打ち方は大きく分けて2種類あるので、それぞれ以下で紹介していきます。

場所打ち杭工法

杭基礎を構築する箇所を掘削し、できた孔を利用して杭をその場で打設する工法のことを言います。

鉛直精度を高く保つことができ、途中で硬質な地盤があっても掘削が可能であるというメリットがあります。

また、騒音も後述の既設杭工法と比べて小さく、地盤を掘削する際に地質を確認できるという特徴もあります。

一方で、掘削孔の崩壊や緩みが起こるデメリットも考えられます。

既製杭工法

鋼製やコンクリート製で、工場であらかじめ製作された既製の杭を、現場で地中に打設する工法です。

杭自体が工場で製作されるため、場所打ちと比べて現場での工期が短くできるというメリットがあります。

ただ、工法によって騒音・振動が大きい場合があるので、周辺環境によっては注意が必要です。

ケーソン基礎

ケーソン基礎とは、「ケーソン」と呼ばれる鉄筋コンクリート製の大きな箱を支持層まで構築することにより構造物を支える基礎のことです。

基礎自体の剛性が高いため、大規模な構造物に用いられることが多かったのですが、杭基礎が発展してきたことにより陸上の構造物で見られることは少なくなりました。

トンネル等の地下空間としてケーソンが用いられることはよくありますね。

ケーソン基礎も大きく分けて2種類ありますので、それぞれ紹介していきます。

オープンケーソン工法

オープンケーソン工法とは、まず地上で「蓋」と「底」のないケーソン本体を構築し、基礎を構築する箇所に設置した後、ケーソン内部を掘削することにより徐々にケーソンを沈下させ、支持層まで到達した後に内部のコンクリートを打設する工法です。

打込みの精度を確保するのが難しいのと、掘削範囲が広大になるため、杭基礎が発展してからはあまり用いられなくなりました。

ニューマチックケーソン工法

ニューマチックケーソン工法は、あらかじめ地上で下部に作業室を設けた鉄筋コンクリート製のケーソンを構築し、作業室に地下水圧に見合う圧縮空気を送り込むことにより地下水を排除しながら掘削・沈下を行って、所定の位置に構築物を設置する工法です。

古くはブルックリンブリッジなどの基礎に用いられており、掘削を人力で行っていましたが、作業空間の気圧を高くするため、「ケーソン病」と言われる病気などの健康被害が相次ぎ、機械式の掘削に置き換わっていきました。

鋼管矢板基礎

鋼管矢板基礎とは、連続的に打ち込んだ杭を継手で繋ぎ、上部をフーチングにより結合して一体化することにより構成される基礎です。

剛性が高く、土留め壁と一体化できるという特徴があり、海中に構築する橋脚基礎によく使われます。

地中連続壁基礎

地中連続壁基礎とは、地中を大きく掘削し、鉄筋コンクリートによって連続的な壁を構築することによって構成される基礎のことを言います。

構造形式や地盤抵抗要素はケーソン基礎と似通っています

剛性は非常に大きいため、大規模な構造物に用いられます。建築の世界でもビルなどに用いられる場合があります。

また、こちらも土留め壁としても利用されるため、本体兼用として構築される場合も多いですね。

まとめ

基礎の種類をまとめていきました。

橋脚の基礎を中心にいろいろな部材にいろいろな工法が使われています。

地中に埋まっているので普段は意識もしませんし、目立ちもしませんが、構造物を支える非常に重要な構造物です。

軟弱地盤の多い日本では様々な形に発展していっているので、身近な構造物にどんな基礎が使われているか調べてみるのも楽しいかもしれませんね。

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