【土木鋼構造診断士】溶接欠陥に関する問題

問題

溶接欠陥に関する次の記述のうち,適当なものには○,不適当なものには×をつけよ.

1)完全溶込み溶接で開先の先端部が溶融されずに残った状態は,溶込み不良という.
2)溶接部が室温近辺に冷却した後に発生し時間とともに伝搬していく割れは,低温割れという.
3)溶接ビードの止端に沿って生じた溶接割れは,アンダカットという.
4)拘束の大きな十字溶接継手等で母材表面と平行に母材内に生じる割れは,ラメラテアという.

※2022年度過去問をアレンジ

解説

溶接欠陥に関する問題。溶接の欠陥は構造物の性能にも影響するかもしれないため、溶接品質の確保には十分な注意を払う必要があります。

この問題は溶接欠陥の種類を正確に把握しているかどうかを問う問題で、欠陥の呼ばれ方やその内容を理解しておく必要があります。

4つの選択肢をひとつひとつ解説していきます。

1)完全溶込み溶接で開先の先端部が溶融されずに残った状態は,溶込み不良という.

溶込み不良の記述として正しいため、○です

溶込み不良は開先の角度が小さかったり、ルート面が大きすぎたりすると生じやすいと言われています。

2)溶接部が室温近辺に冷却した後に発生し時間とともに伝搬していく割れは,低温割れという.

低温割れに関する記述として正しいため、○です。

一般に溶接部が200℃程度以下になった後に発生し、溶接部の硬化の程度溶接部の拡散性水素継手の拘束度が主な要因となります。

3)溶接ビードの止端に沿って生じた溶接割れは,アンダカットという.

アンダカットに関する記述としては誤りであり、×です。

アンダカットは、溶接ビードの止端に沿って母材が溶け、溶接金属が満たされずに溝が残存するような欠陥のことを言い、溶接割れ」とは言いません

アンダカットは、溶接電流が過大だったり、溶接速度やねらい位置が要因となって発生します。

4)拘束の大きな十字溶接継手等で母材表面と平行に母材内に生じる割れは,ラメラテアという.

ラメアテアに関する記述として正しいため、○です

鋼材中の硫化物系介在物が圧延工程で圧延方向に延ばされ、板厚方向の応力により介在物を起点にして割れが発生し、進展したものと言われています。

解答

解答は以下の通りとなります。

1)○
2)○
3)×
4)○

鋼構造物に生じた損傷の原因が建設時の溶接欠陥であったという事例も多くあります。
溶接に直接的にかかわらなくても、その欠陥の種類と原因や対策については正確に理解しておくべきでしょう。
今回ご紹介したような問題を通して、溶接欠陥についての正しい理解を進めていってください。

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