【コンクリート技士・主任技士】どこにひび割れが入る?コンクリート構造に関する問題その3

問題

下図(1)~(4)は、高さが異なる鉄筋コンクリート柱に水平荷重を作用させたときに発生するせん断ひび割れと曲げ断ひび割れのを模式的に示したものである。(1)~(4)のうち、適当なものには〇、不適当なものには×を付けよ。

解説

コンクリート構造についての発展的な問題。せん断ひび割れと曲げひび割れの両方について、どのようにひび割れが発生するかを理解しておくと共に、H型の部材がどのような挙動をするのかをイメージできなければなりません。

ひび割れの形状から、(1)(2)はせん断ひび割れ、(3)(4)は曲げひび割れに関する問題だと考えられます。

まず基礎的なとこですが、支点が全てピン支点(ヒンジ支点)とローラー支点なので鉛直方向には変位しません。したがって、下図のような変形は考えられません。

たまにこの変形をイメージしてしまう人がいるので注意してくださいね。

(1)(2)せん断ひび割れ

(1)(2)はせん断ひび割れに関しての問題です。

今、設問の部材の縦の部分にひび割れが入っているので、そこを対象に考えましょう。

部材上部はローラー支点のみで支持されているので、水平方向はフリー(自由に動ける)です。そのため、変形は下図のようになることが考えられます。

この変形がイメージできれば、あとは引張と直行する方向にひび割れが入ことを思い出してひび割れの発生を考えましょう。

引張の発生とひび割れの方向についてピンとこない方は、以下の問題も参考にしてください。

鉄筋コンクリート部材のひび割れに関する少し発展的な問題。曲げひび割れとせん断ひび割れについて、どのように発生するのかを理解しておきましょう。コンクリート技士・主任技士試験だけではなく、コンクリート診断士試験にも頻出。

せん断について詳しく知りたい方はこちらもご覧ください。

せん断力を受ける鉄筋コンクリート部材について、どうやってひび割れが入るのか、破壊はどのように進展するのか、についてまとめています。

答えは(1)が×、(2)が〇です。

(3)(4)曲げひび割れ

曲げひび割れに関しても、どのように変形するかを考え、引張が生じる部分はどこか見ていきましょう。

変形した場合は下図のようになることが想像できます。

前述しましたが、鉛直方向に拘束されているため、(3)のように曲げひび割れが入ることはありません。注意してください。

よって、ここに曲げひび割れが発生すると考えられるため、(3)は×、(4)は〇が正解です。

解答

正解は以下の通りとなります。

(1)×
(2)〇
(3)×
(4)〇

部材の形がH型になった途端に難しくなったように感じますが、やっていることはただの棒部材と一緒です。

見たことのないような形状でも、礎的な形状の部材におけるコンクリートの挙動と本質は変わりません。どのように応用できるか考えていく癖を付けましょう!

類似問題はこちら

コンクリート構造に関する過去の問題はこちら!併せてご覧ください!

鉄筋コンクリートに対していろいろな荷重が作用したときに、どこにひび割れが入るかを考える問題。まずは単純な部材で考えてみます。
鉄筋コンクリート部材のひび割れに関する少し発展的な問題。曲げひび割れとせん断ひび割れについて、どのように発生するのかを理解しておきましょう。コンクリート技士・主任技士試験だけではなく、コンクリート診断士試験にも頻出。
コンクリート技士・主任技士に頻出のコンクリート構造に関する問題。鉄筋コンクリート部材の主筋をどこに配置するか、力の発生の仕方をしっかり理解しておきたいところです。

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