問題
同一スランプのコンクリートを得るための配合設計に関する次の(1)~(4)の記述のうち、適当なものには〇、不適当なものには×を付けよ。
(1)細骨材率は、所定のワーカビリティーが得られる範囲内で、単位水量が最小になるよう、計算によって求める。
(2)単位水量は所定のスランプが得られる範囲内で、できるだけ小さくする。
(3)空気量を小さくすると、単位水量は大きくなる。
(4)空気量を小さくすると、細骨材率は大きくなる。
解説
コンクリート技士・主任技士試験で頻出の問題。
コンクリートの調・配合をする際に、どの数値がどの数値に影響してくるかをしっかり頭に入れておきたいです。
(1)細骨材率は、所定のワーカビリティーが得られる範囲内で、単位水量が最小になるよう、計算によって求める。
いきなりわかりにくい選択肢ですが、この文章、
「細骨材率は、所定のワーカビリティーが得られる範囲内で、単位水量が最小になるよう」
まで正解です。
その後の「計算によって求める」が×。
正解は、「試験によって求める」です。
よって、×。
(2)単位水量は所定のスランプが得られる範囲内で、できるだけ小さくする。
これはわかりやすく〇です。
単位水量は小さい方が、コンクリート強度が発現しやすく、品質の良いコンクリートができやすいです。
ただし、単位水量が少なければ、それだけワーカビリティーが得られなくなり、締固めが難しくなります。
ですので、所定のワーカビリティー(スランプ)が得られる範囲で最小にするのが望ましいと考えられます。
よって、〇。
(3)空気量を小さくすると、単位水量は大きくなる。
空気量を小さくすると、スランプは小さくなります。(”固く”なります。)
そのため、同一スランプとするためには、単位水量もしくは細骨材率を大きくする必要があります。
よって、〇。
(4)空気量を小さくすると、細骨材率は大きくなる。
(3)と同じ理由です。
正解は、〇。
解答
(1)×
(2)〇
(3)〇
(4)〇
単位水量、細骨材率、空気量、このそれぞれが変化すると、スランプはどのように変化するのか、正確に捉えておきましょう。
スランプが大 ⇐ 単位水量、細骨材率、空気量が大
スランプが小 ⇐ 単位水量、細骨材率、空気量が小
同じようなスランプに関する問題について、以下の記事で解説しているので、一緒に確認しておきましょう!
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コメント
細骨材の粗粒率が小さくなったということは、粒が小さくなることを意味するのはわかるので
すが、スランプを同じにしようと思ったら、どうして細骨材率は小さくしなければならないのですか?
ご質問ありがとうございます。
骨材の粒が小さくなることは、骨材間の隙間が小さくなることを意味します。
コンクリートの中のセメントペーストは、骨材と骨材の間を「のり」のような働きしています。
そのため、骨材間の隙間が小さくなれば、「のり」(=セメント)が必要な量が小さくなり、セメントの余剰が発生します。
セメントは粒が小さく、余剰が発生すると流動性が高まるため、スランプは大きくなります。
一方、細骨材率を小さくすると、大きな粒が多くなり、骨材間の隙間が大きくなるため、
上記の反対で、隙間に入り込むセメントがより多く必要があり、スランプは小さくなります。
以上から、粗粒率を小さくした場合は、細骨材率を小さくすることにより、スランプを同程度に保つことができます。
ややこしいですが、大きな粒の間に小さな粒が入り込み、コンクリートを緻密にしている感覚を持つとわかりやすいかもしれません。
不明な部分があればいつでもコメントください!