土木技術者として社会で活躍することを目指している人は、「技術力」というキーワードを聴くことが多くあると思います。
土木分野の企業が、「我が社の技術力が・・・」とアピールしてくることもあるでしょう。
でも、土木に関わる様々な会社がこの技術力を売りにしているにもかかわらず、受けとる側からすると「はっきりとした意味がわかりにくい・・・」という場合が多いのではないでしょうか?
あなたはこの「技術力」の意味、はっきりと説明できますか?
または、「技術力のある会社」とはどのような会社のことでしょうか?
実はこの技術力、実に幅広い意味で使われている言葉なんです。
これから社会に出ていく未来の技術者の皆さんへ、技術力のある会社とはどのような会社なのか、私のこれまでの経験などを基に紐解いていこうと思います。
辞書で調べてみました
言葉の意味が気になったらまず辞書を引こう、ということで、辞書で調べてみました。
名詞「技術」に、接尾辞「力」がついたもの
Weblio辞書
うん、まぁ・・・と言うことで、「技術」を調べました。
① 物事を巧みにしとげるわざ。技芸。 「運転-」
② 自然に人為を加えて人間の生活に役立てるようにする手段。また、そのために開発された科学を実際に応用する手段。科学技術。 〔西周(にしあまね)「百学連環」(1870~71年)に載る語。英語 mechanicalart を「器械の術」「技術」と訳した〕
Weblio辞書
②の意味がしっくりきますね。まさに、「科学を実際に応用する」ことでしょう。
業種で意味が違う?
では、技術力のある会社とは、具体的にどのような会社のことを指して使われているのでしょうか?
それは業種によって異なると考えるべきでしょう。
それではまず、業種ごとにその意味を考えていきましょう。
ゼネコン
例えば、ゼネコンでいう技術力のある会社とは何どんな会社を言うのでしょうか?
それはやはり、構造物を施工する力が高い会社と言えるでしょう。
高品質のものを、工程通りに、安く、安全に作ることが、ゼネコンの世界でいう「技術力」であると考えられます。
それは、関係者間で上手くコミュニケーションをとることですし、チームをまとめるマネジメント力も技術力と言えるでしょう。
建設コンサルタント
では、建設コンサルタントではどうでしょうか?
コンサルは専門的な知識が必要とされる場面が多いです。技術力とは、この専門知識の多さ、深さであると言えるでしょう。
それだけではなく、発注者の意図を汲み取り、協力しながらいい設計を仕上げて行くことも技術力です。
これらの能力が総合して高い会社が、技術力の高い会社であると言えると思います。
発注者
自治体等の発注者の技術力は何でしょうか?
これが1番分かりにいかもしれません。自治体は自分で施工をしなければ設計図を描くわけでもありません。
でも、対象とする構造物がしっかり出来上がるように、設計から施工まで仕事を進めなければなりません。
または、そのあとの構造物の維持管理もする責任があります。
さらに言うと、そもそもその工事や設計が必要なのかどうかを判断する役割も担っています。
技術的に可能かどうか、使うお金が妥当かどうか、いま何をすべきかなど、全体をマネジメントし、技術的観点から判断する能力が必要です。
また、ゼネコンやコンサルなどの受注者が、しっかりと業務を行っているかどうかを監督する役割も担っています。
個人に使われる「技術力」
技術力という言葉は、技術者個人にも使われることがあります。
この場合の多くは、専門知識や経験が豊富な人を指すでしょう。
もちろん、土木の仕事は一人でできることはほぼありませんので、技術力の高い人が1人いたところで、組織の技術力が高いとは言い切れません。
ただ、技術力のしっかりしている組織には、技術力の高い技術者がたくさんいます。
そのため、個人の技術力を磨いていくことはもちろん大切なんですが、組織の中でその技術力を伝承していく仕組みを構築していくことが、「技術力の高い会社」と言える条件のひとつともいえるでしょう。
職人の腕は技能
現場で構造物を美しく仕上げる職人が日本にはたくさんいます。
日本の職人のレベルは総じて高く、現状世界のトップと言えるでしょう。
この職人の力は一般に技術ではなく、技能と呼ばれます。
混同しやすいですが、技術と技能はよく使われる言葉ですので、意味を理解しておきましょう。
まとめ
「技術力のある会社」とはどんな会社なのか、世の中での「技術力」と言う言葉の使われ方を中心にまとめてきました。
土木分野の会社で言えば、「技術力」とは、「その会社の仕事を遂行する能力」と言えるかもしれません。
「技術力のある会社」とは、そんな技術力の高い技術者がたくさんいる・育てる環境があることを指すでしょう。
「技術力のある会社に行きたい」と思う人も多いと思います。素晴らしいことだと思います。
だからこそ、技術力とは何なのか、自分のやりたいことと一致しているのか、しっかりと考えていきたいものです。
頑張ってください!