このサイトでは土木分野の情報についていろいろと取り上げて書いているわけですが、あまり土木のことを知らない人や、これから土木を学び始めようとしている方向けに、土木の意味について書きたいと思います。
また、土木の語源や土木学会の思いなど、現在土木に関わっている方に振り返ってほしいことも書いてみたので、是非最後まで読んでみてください。
土木とは?
土木の意味
まず、土木の言葉の意味について調べました。土木学会HPには以下のように書かれています。
「市民のための工学」あるいは「市民の文明的な暮らしのために、 人間らしい環境を整えていく仕事」を意味する言葉です。
英語でcivil engineerと言うだけあって、市民がいい暮らしをするために必要な工学ということですね。
次に辞書でも調べてみましょう。
1 土と木。
2 土石・木材・鉄材などを使って、道路・鉄道・河川・橋梁 (きょうりょう) ・港湾などを造る建設工事。土木工事。また、それら建築物を造る産業。
3 《「土木工学」の略》土木2に関する理論と実際を研究する工学の一部門。「大学で土木を専攻する」
土木構造物の例として、橋梁、ダム、トンネル、道路、鉄道、護岸などが挙げられます。これらを設計し、工事し、維持管理していくことが土木の役割です。
一昔前は設計と施工(工事)が土木の仕事として考えられていましたが、最近では作ったものを維持管理していくことが同じように重要視されています。
高度経済成長期に建設された多くの構造物が歳を取り、劣化が進んできています。これを限られた人数、コストでどのように守っていくのか、早急に解決していかなければならない課題でしょう。
土木の歴史
土木はいつの時代から始まったのでしょうか?
この問いに答えるのは非常に難しいと思います。
最初に鉄が生成された時期や、コンクリートが使われた時期、世界初の橋梁の建設、土木学会の創設・・・などであればある程度の時期はわかるのですが、土木の歴史となると何が始まりかわからないと私は思います。
なぜかというと、土木とは総合的な工学であり、人が社会的な活動を始めた時点で土木=civil engineerは始まっているはずだからです。
抽象的すぎる書き方ですが、これについての見解はいつか記事として書きたいと思っているので、少々お待ちください。
実際の仕事について
では実際の土木の仕事はどういうものなのでしょうか?
対象となるのは前述のような橋梁、ダム、トンネル、道路、鉄道、護岸などです。いずれにしても大きな構造物を作っていく仕事なので、1人で完結するようなことはほとんど皆無で、組織で取り組む仕事がメインです。
また、これらの仕事にいろいろな企業・団体が取り組んでいますが、「発注者」と呼ばれる企業が設計や工事などを発注し、「受注者」が競争して入札し、仕事を受注するのが一般的な流れです。
これは、土木の仕事には公的なものが多く、昔からこのような流れで仕事がなされてきたからでしょう。
発注者の代表的な例は、国や地方自治体、鉄道会社(JR各社など)、高速道路会社(NEXCO各社)などです。
受注者は、主に設計を行う建設コンサルタント、施工を行うゼネコンなどが例として挙げられます。
語源は?
土木の語源は諸説あるのですが、中国の前漢時代の古典「淮南子(えなんじ)」に出てくる「築土構木」という言葉から来ているという説が一般的によく言われています。
土木学会の思い
土木分野にも当然学会があり、それは土木学会と呼ばれています。ではなぜ、土木工学会ではなく、土木学会と呼ぶのかご存知ですか?
これは、初代土木学会会長の古市公威という人の大きな思いが関係しています。
皆さん、学会と言うとどのようなことを想像しますか?専門的で、その道を極めた人たちが議論などをする場を想像する方が多いのではないでしょうか?
古市が危惧したのは、正にこのことでした。
「土木の本質は、真に総合的な工学である」と言うのが古市の考えであり、工学会として過度に専門化することを避けたいという思いがあったのです。
土木学会で議論されるべき内容は、工学的内容ではなくとも-文学でっても社会学でってもよく、ただしすべてが土木に帰着すべきであることを求めたのです。
これ以上は長くなるので詳しくは書きませんが、土木学会100周年記念のHPで是非見てみてください!
まとめ
土木とは何か?土木の意味は?など、すこし抽象的な話が多かったですが、これから土木を志す方の役に立てばいいなと思います。
世のため人のため、土木技術者として何ができるか考え続けていきましょう!