橋脚や擁壁等のコンクリート構造物やコンクリート打ちっぱなしの建築物などの表面に、上の写真のような「丸いくぼみ」のようなものがあるのを見たことはありませんか?
デザインなのか?欠陥なのか?などと不思議に思っている方も多いと思います。
そんなコンクリートの表面にできるくぼみや、その他の傷のようなものの原因と正体について説明していきたいと思います。
正体は「セパ孔」
この丸いくぼみの正体は、「セパ孔(せぱあな)」と呼ばれているものです。
「セパレーター」によってできた「孔」を略してこう呼んでいます。では、その「セパレーター」とは一体何なのでしょうか?
コンクリート構造物をつくるときには、固まっていないコンクリート(フレッシュコンクリート)を、木の板などで作った型枠に流し込み、コンクリートが硬化するのを待ちます。
そのため、この型枠がコンクリートの重みで曲がってしまったり傾いてしまっては、コンクリート構造物の形をうまく作ることができません。
そこで使われるのがセパレーター。写真のように、型枠と型枠の間に設置して、型枠が一定の間隔で固定されるようになっています。
このセパレーターを設置した状態でコンクリートを流し込み、硬化させるため、セパレーターはコンクリートの中に置かれたままになり、表面には穴が開いている状態になります。
ここをモルタルなどで埋めた跡が、コンクリート表面の丸いくぼみの正体です。
他にもあるコンクリート表面の不思議
コンクリートの表面を観察すると、他にもいろいろな不思議が見つかるかもしれません。
例えば、下図のような「真っすぐな線」を見たことはありませんか?。
まるで構造がそこで別々になっているかのような線が入っていることがあると思います。
これの正体は何なのでしょうか?
実はこれも型枠と密接に関係しています。
型枠を設置するとき、コンクリートを打設する大きさや量が大きくなっても、巨大な型枠を用いるわけではありません。
ある程度の大きさの型枠を並べて用いることになります。
この時の型枠と型枠の境目が、上の写真のような線になっているんです。
コールドジョイントや打ち継ぎ目と間違えてしまう人もいますが、型枠の境目は縦横真っすぐに、比較的小さな間隔で並んでいるので、間違えないようにしましょう。
まとめ
コンクリート表面にある丸いくぼみの正体はセパ孔であり、真っすぐな線は型枠と型枠の境目であるということをわかって頂けたと思います。
これらはコンクリート構造に対して悪さをするものではなく、欠陥でもなければ劣化でもありません。
心配せず、コンクリートならではの味だと思って見てもらえたらいいと思います。
でも、コンクリートの表面には、あってはならない欠陥が見られる場合もあります。
構造に害があるか無いか判断するには、経験を積んだ技術者の判断が必要になりますが、とりあえず今回紹介したものは悪いものではないことは覚えておいてください!