問題
アルカリ骨材反応に関する以下の記述のうち、正しいければ〇、誤っていれば×を付けよ。
(1)アルカリ骨材反応は劣化進行速度が速く、一度発生すると劣化の抑制が困難である。
(2)アルカリ骨材反応は、高炉スラグの分量が40%以上の高炉セメントB種を用いることにより抑制できる。
(3)アルカリ骨材反応の抑制には、フライアッシュの分量15%以上であってもフライアッシュセメントB種の使用による効果はない。
(4)アルカリ骨材反応の抑制のためには、コンクリート中のアルカリ総量を3.0kg/m3以下とする。
解説
コンクリート技士試験に頻出の、アルカリ骨材反応に関する演習問題です。
元々日本では起こらないとされていましたが、近年になって事例が発見され始めています。
コンクリートのがんとも呼ばれ、亀甲上のひび割れが発生するのが特徴。
今回の演習問題は、コンクリート材料の化学的な特徴をとらえておくことにより、簡単に解ける問題だと思います。
それでは、解答していきましょう。
(1)アルカリ骨材反応は劣化進行速度が速く、一度発生すると劣化の抑制が困難である。
アルカリ骨材反応は一般的に劣化の進行速度は遅いです。
そのため、反応性骨材が含まれていても、水などの劣化因子の侵入を遮断してやることにより構造物の延命を図ることができます。
さらに、抑制剤を注入することによる劣化抑制工法もあり、劣化の抑制が困難とは言えません。
よって、(1)は×。
(2)アルカリ骨材反応は、高炉スラグの分量が40%以上の高炉セメントB種を用いることにより抑制できる。
高炉セメントB種やC種は、アルカリ骨材反応抑制効果を有していると言われています。
そのため、高炉スラグの分量を40%以上とすることにより、アルカリ骨材反応を抑制することができると言えます。
よって、(2)は〇です。
(3)アルカリ骨材反応の抑制には、フライアッシュの分量15%以上であってもフライアッシュセメントB種の使用による効果はない。
フライアッシュセメントB種(15%以上の分量)は、高炉セメントB種と同じく、アルカリ骨材反応抑制効果があるとされています。
そのため、(3)は×。
(4)アルカリ骨材反応の抑制のためには、コンクリート中のアルカリ総量を3.0kg/m3以下とする。
アルカリ骨材反応は、コンクリート中のアルカリ分と反応性骨材が反応することにより発生する劣化現象です。
そのため、コンクリート中のアルカリ総量を減少させることによりアルカリ骨材反応を抑制することができます。
アルカリ総量の具体的な数値としては、問題文の通り3.0kg/m3以下とすることで、その抑制効果が発揮されると規定されています。
よって、(4)は〇となります。
まとめ
正解は以下のようになります。
(1)×
(2)〇
(3)×
(4)〇
アルカリ骨材反応は、鉄筋腐食を直接引き起こすわけではなく、コンクリート自体を劣化させる現象です。
コンクリートのヤング率が低下するだけでなく、ひび割れの発生により他の劣化因子が侵入しやすくなるという特徴もあるため、複合劣化を引き起こす厄介な存在でもあります。
今では劣化の進行抑制工法も確立されているため、発見したときは早急な対策を打つようにしましょう。