問題
下図の(1)~(4)は、鉄筋コンクリート部材に荷重が作用したときのひび割れの発生を模式的に表した図である。これらのうち、適当なものには〇、不適当なものには×を付けよ。
解説
コンクリートの性質と構造力学に関する簡単な知識が必要な問題。
ポイントは、「コンクリートはどういうときにひび割れが発生するか」と「部材のどこにどのような力がかかるか」の2点です。
コンクリートはどういうときにひび割れが発生するか?
コンクリートがひび割れるのはどういうときでしょうか?
コンクリートは砂や砂利をのり(セメント)で固めたものです。そのため、圧縮される力には強いですが、引っ張られる力には弱い、と言う特徴があります。
だいたい、引張強度は圧縮強度の1/13~1/10と言われています。
部材のどこにどのような力がかかるか?
1点目のコンクリートの性質を頭に入れたら、次は、どこが引っ張られてどこが圧縮されるかを考えます。
そして、引っ張られるところにひび割れが生じるのです。
選択肢をひとつずつ見ていきましょう。この時、部材が非常に柔らかいと考えて、どのように変形するか考えるとわかりやすいです。
以下に、部材がとても柔らかければどう変形するかを点線で表します。また、引張が生じそうな部分は青で示してみます。
図の青い部分とひび割れの位置が重なっていたら正解と言うことになりますね。
(1)集中荷重が作用する単純梁
単純梁に集中荷重がかかった状態。
この場合は図の点線のように変形することが考えられます。
この時に引張が生じるのは、部材中心の下部。引張に弱いコンクリートのこの部分にひび割れが入りやすくなります。
よって、この図の通りとなるため、(1)は〇が正解です。
(2)2点の集中荷重の作用する張り出し部材
(2)は、単純張りの片側が張り出している部材に2点の集中荷重がかかっている状態です。
この時の部材の変形は図の点線のようになります。
ここで、引張が生じるのは図の青い部分、支点間の中心と、右側の視点の上部となります。部材右側の下部は引張は生じないですね。
ですので、右側下部のひび割れは間違いで、青い部分にひび割れがないとおかしいということになります。
よって、(2)は×。
(3)集荷中の作用する片持ち梁
続いて、(3)では片方が固定端の片持ち梁に集中荷重がかかっています。
固定端はピン支点やローラー支点と違い、曲げモーメントも生じます。そのため、この部材の左側は固定され、図の点線のような変形になることが想像されます。
そのため、部材左側の上部に引張が生じ、ひび割れが発生するはずなので、(3)は〇が正解です。
(4)集中荷重の作用する両端固定部材
最後に、(4)は両端が固定端で真ん中に集中荷重がかかっている部材を考えます。
この部材では、(3)の部材と同様に固定端近くの部材上部に引張が生じます(図の青い部分参照)。また、集中荷重がかかっているので、その部分の下部にも引張が生じることがわかるでしょう。
そのため、図の青い部分にひび割れが発生していなくてはおかしいので、(4)は×となります。
解答
正解は以下の通り。
(1)〇
(2)×
(3)〇
(4)×
解説に書いたように、コンクリートは引張に弱いというのが一つの肝です。
そしてあとは部材のどこに引張が生じるか。
この問題では単純な梁ですが、H型やT型などの場合はどうなるのか?支持がピン支持か固定端か?などによって力の生じ方が変わってきます。
どういう力が加わるのか?=どのように変形するのか? を思い浮かべながら問題を解いていきましょう。いろんな条件で力の入り方を想像することは実務でも結構役に立ちます。これを期に数をこなしておくのは無駄にはならないはず!
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