【コンクリート診断士】中性化深さと鉄筋腐食に関する問題

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問題

建設後36年が経過した打放し仕上げの鉄筋コンクリート造建築物において、屋外側の壁面の雨掛かりのある部分を調査したところ、中性化深さは30mm、中性化残りは0mmであった。この調査結果に関する記述(A)~(C)について、正しいものには〇、誤っているものには×を付けよ。

(A)調査部位の中性化速度係数は5mm/√年と推定した。
(B)調査部位の鉄筋は腐食していないものと判断した。
(C)調査部位の同一壁面の雨掛かりの無い部位の中性化深さは30mmより小さいと判断した。

※2018年度のコンクリート診断士の問題をアレンジした問題です。

解説

中性化深さに関する問題は、コンクリート診断士試験だけでなく、コンクリート技士試験にも頻出ですし、大学のコンクリート工学の試験にもよく出てくるのではないでしょうか?

中性化深さの求め方や中性化の特徴はしっかりと押さえておきましょう。

(A)

(A)調査部位の中性化速度係数は5mm/√年と推定した。

中性化深さは以下に示すようなルートt則で求められます。

y = b√t
y:中性化深さ[mm]、b:中性化速度係数[mm/年]、t:時間[年]

この問題で出てくる調査部位では、中性化深さy=30mm、時間t=36年なので、中性化速度係数b[mm]は以下のように求められます。

b=y / √t
=30 / √36
=5[mm/年]

以上から(A)は〇となります。

(B)

(B)調査部位の鉄筋は腐食していないものと判断した。

まず、「中性化残り」という用語の定義を覚えておきましょう。

中性化残りとは、かぶりと中性化深さの差のことを言い、中性化残りが0mmというのは、鉄筋の深さまで中性化が進行していることを言います。

一般的に、中性化残りと鉄筋腐食の開始の関係は、塩化物イオンの有無によって以下のように定められています。

  • 塩化物イオンを含まないコンクリートの場合、中性化残り約8mmで鉄筋腐食開始
  • 塩化物イオンを含むコンクリートの場合、中性化残り約20mmで鉄筋腐食開始

なお、塩化物イオンの有無で数値が変わるのは中性化による塩化物イオンの濃縮によるものです。
塩化物イオンの濃縮がよくわからない方は、以下の記事で塩害と中性化の複合劣化について確認してください。

コンクリートに生じる劣化現象-塩害、中性化、アルカリ骨材反応。これらの組み合わせによっては劣化を促進したり、抑制したりします。適切な補修工法の判断の為にも、そのメカニズムについて頭に入れておきましょう。

以上から、中性化残り0mmのときには鉄筋腐食が開始していると考えるのが妥当です。

上に書いた基準を知らなくても、「中性化残り」と言う言葉さえ知っていれば、鉄筋位置まで中性化が進行していることから、鉄筋腐食が生じている可能性が高いことがわかりますね。

よって、(B)は×です。

(C)

(C)調査部位の同一壁面の雨掛かりの無い部位の中性化深さは30mmより小さいと判断した。

中性化が進行しやすい環境は乾燥」と「高温です。

調査部位は雨掛かりがある場所なので、雨掛かりの無い部位と比べて湿潤状態であるはずです。

そのため、雨掛かりの無い部位の方が中性化の進行が早いため、中性化深さは30mmより大きいと考えられます。

よって、(C)は×

解答

(A) 〇
(B) ×
(C) ×

コンクリートの劣化機構の1つである中性化については、中性化深さを求める方法だけでなく、どの条件で進行しやすく、どの条件でしにくいのかをしっかりと覚えておきましょう。

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