エクストラドーズド橋と言う橋梁形式をご存知ですか?
主塔があり、桁を鋼棒で支えるような形をとっているため、見た目だけで言うと斜張橋とほとんど変わりません。
では、どういった構造的な特徴があるのでしょうか?斜張橋とは何が違うのか?解説していきたいと思います。
エクストラドーズド橋の概要
エクストラドーズド橋とは外側(extra)で補強された(dosed)橋、という意味で、主桁の外側で桁をPC 鋼材を用いて補強することによって合理化を図った構造です。
分類としては「プレストレストコンクリート橋」となります。
見た目は斜張橋とよく似ていて、知らない人から見ると同じ構造であると勘違いされがちです。
ただ、構造としては斜張橋よりも桁橋に近く、桁橋にPC鋼棒によるプレストレスにより剛性を持たせた構造であるということができます。
橋長は一般的には100~200m程度が多く、それ以上になると別の橋梁形式の方が合理的な場合が多くあります。
斜張橋との違い
エクストラドーズド橋と斜張橋との違いはどのような点なのでしょうか?構造的な側面と外観上の側面に分けてみていきましょう。
まず、斜張橋について詳しく知りたい方は、以下の記事をご覧ください。
外観
まず外観についてですが、主塔があり、主塔から伸びた鋼棒やケーブルによって桁を支えている点に関しては両者同じです。
違っている点は、エクストラドーズド橋の方が主塔が低く、PC鋼棒がより水平に近いという点です。
大まかな数値ですが、ひとつの主塔で支える桁の長さに対して、斜張橋の主塔は5分の1程度、エクストラドーズド橋は15分の1程度と、エクストラドーズド橋の主塔は斜張橋の3分の1程度の高さであることが一般的に言われています。
その分、PC鋼棒も斜張橋のケーブルと比べると水平に近くなることがわかると思います。
構造
続いて構造に関するエクストラドーズド橋と斜張橋の違いについて見ていきましょう。
斜張橋は電車や自動車の荷重をケーブルで受け持つのに対して、エクストラドーズド橋はPCで補強した主桁で受け持ちます。そのため、エクストラドーズド橋は斜張橋と比べて主桁の剛性が高くなるという特徴があります。
それにより斜材の応力変動を小さく抑えることができるため、疲労に対して強くなるという特徴もあります。
また、エクストラドーズド橋はPC鋼棒に張力を導入するため、材料費を安く抑えられます。前述のように、100~200m程度であれば経済的な設計とできる場合が多くあります。
ちなみに、斜張橋の支間長は300~500m程度が一般的です。
エクストラドーズド橋のメリット
では、エクストラドーズド橋のメリットとは何なのでしょうか?
ひとつは、景観上のメリットです。斜張橋と同じように桁を鋼棒で支えており、すっきりとした見た目になります。
もうひとつのメリットは、主桁の剛性が高いことに起因します。主桁の剛性が高いことは、PC鋼棒の疲労強度を上げているだけでなく、施工中に桁にある程度の負担をかける張り出し架設などの施工が可能になるというメリットもあります。
まとめ
エクストラドーズド橋は斜張橋と桁橋の中間的な位置付けと言え、景観や構造上のメリットが多くある橋梁形式です。
斜張橋との違いは以下の通りです。
- 主塔が低い
- PC鋼棒が水平に近い
- 主桁の剛性が高い
- 経済的となる(適用される)支間長が一般的に短い
橋梁に関わる技術者であれば、橋梁形式の違いが見た目でわかるようになれるといいですね!