一般的に用いられている橋梁のひとつにトラス橋があります。
桁橋よりもはるかに長いスパンを飛ばすことができ、古くは14世紀のヨーロッパでも使われていたと言われています。
鉄道橋で多く見られますが、道路橋や水道橋等でも用いられる構造です。
トラス橋とは、「弦材」と呼ばれる直線的な部材を用いて、3辺の長さが決まると三角形は1つに決まるという幾何学的な特徴を活かし、三角形を組み合わせることにより橋全体を剛にする構造をしています。
一口にトラス橋と言っても、部材の組み合わせ方によっていろいろな種類があります。
今回はトラス橋の種類と構造的な特徴などについてまとめていきます。
トラス橋の種類
トラス橋は弦材と呼ばれる直線的な部材を組み合わせた三角形を基本構造として構成されている構造です。
トラス橋にはいろいろな種類、形式があります。
基本的には発案した人の名前が付けられているようですね。
そのうち代表的な3種類のトラスについて説明していきます。
ハウトラス(Howe truss)
ハウトラスは斜材を「ハ」の形に設置したトラス構造です。
ハウトラスでは、鉛直材は引張材、斜材は圧縮材として機能しています。
そのため、斜材は他の部材と比べて長さが長くなるため、圧縮が苦手な鋼材を斜材として用いるのは合理的ではありません。
そのため、鋼トラス橋では用いられることは少なく、古くは木造トラスで、現在ではPCトラスで用いられてきました。長大橋ではあまり見られません。
プラットトラス(Pratt truss)
プラットトラスは、斜材を中心から斜め下に設置したトラス構造。
プラットトラスではハウトラスの逆で、鉛直材は圧縮材、斜材は引張材として機能しています。
部材長の長い斜材を引張材として用いることができるので、鋼橋で一般的に用いられるトラスです。
ワーレントラス(Warren truss)
ワーレントラスは斜材の向きが交互になっているトラス構造です。
斜材は引張材と圧縮材が交番しています。
橋梁の中心から「ハ」の形になっている斜材が圧縮材、その逆の斜材が引張材になります。
これは、ハウトラス、プラットトラスの斜材の向きと同じですね。
鉛直材があるものもありますが、一般に「ハウトラス」というと、鉛直材がないものを指しますが、鉛直材があるハウトラスもあります。
部材数が少なくできる、すっきりとしたデザインが求められる際に適用されます。
鉄道橋などで非常に多く適用されていますし、比較的小さな鋼橋ではよく見かける形ですね。
その他のトラス橋
トラス橋の基本的な形であるハウトラス、プラットトラス、ワーレントラスについて紹介してきました。
でも、トラス橋は世界中にあり、発案者の名前や見た目の特徴などでどんどん名前がつけられているので、大量の種類があります。
また、トラスの上弦側を軌道や道路に使う場合を上路式トラス(デッキトラス)、下弦側を使う場合は下路トラス(スルートラス)と言います。
さらに、上弦材が曲線のトラスを曲弦トラス、直線のものを平行弦トラスと言います。
分類の仕方はいろいろあるんですね。
これらを含めて、いろんな種類のトラスをまとめました。これ以外にもまだまだありますが、代表例としてご覧ください!
- ペンシルヴァニアトラス
- ボルチモアトラス
- クイーンポストトラス
- 曲弦プラットラス
- Kトラス
- キングポストトラス
- ダブルワーレントラス
- 曲弦ワーレントラス
まとめ
トラス橋の様々な種類についてまとめてきました。
トラス橋の種類はたくさんありますが、構造を知る上でわかっておいてほしいのが、「どの部材が圧縮材でどの部材が引張材なのか」ということです。
それさえわかれば、どんな材料にすべきかがわかりますし、構造の合理化にも役に立ちます。また、維持管理の局面でもどの部分を補修、補強すべきかなど、得られる情報が増えるでしょう。
計算せずとも引張か圧縮かなどはわかるように、ちょっと意識して見てみると勉強になりますよ。
他の橋梁についても以下の記事にまとめているので、ご覧ください!