【コンクリート診断士】自然電位法による鉄筋腐食診断の問題

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問題

鉄筋コンクリート部材中の鉄筋の腐食状況を推定するため、温度条件25℃の銀-飽和塩化銀電極を用いた自然電位の測定を行ったところ、-300mVであった。この測定結果の評価に関する記述中の(A)~(C)に当てはまる語句として適切なものをそれぞれ選べ。

ただし、銅-飽和硫酸銅電極と銀-飽和塩化銀電極の標準水素電極に対する電位は、それぞれ+316mVおよび+196mVとする。

銀-飽和塩化銀電極で測定された値(-300mV)を銅-飽和硫酸銅電極基準の自然電位に換算すると( A )mVである。
この値は、銅-飽和硫酸銅電極基準の自然電位として( B )なので、ASTM C 876(Standard Test Method for Half-Cell Potentials of Uncoated Reinforcing Steel in Concrete)を参照して、90%以上の確率で( C )と判定した。

(  A  )
① -180
② -120
③ -420
④ -104

(  B  )
① -200mVよりも貴
② -200mVよりも卑
③ -350mVよりも貴
④ -350mVよりも卑

(  C  )
① 腐食あり
② 腐食なし
③ 判定できない

※2010年度のコンクリート診断士試験の問題をアレンジしたものです。

解説

コンクリート診断士試験の問題として出題される、自然電位法による鉄筋腐食の診断に関する問題です。

用いられる電極と測定値から、鉄筋腐食の有無を推定することができるか否かを問われています。

各電極の特性や判定基準をしっかりと頭に入れておきましょう。

(  A  )

問題文から、測定値は銀-飽和塩化銀電極を用いて-300mVであったとされています。

この値を銅-硫酸銅電極を用いた場合に換算すると何mVになるのかを計算します。

問題文のただし書き以下より、各電極は標準水素電極に対してそれぞれ以下のような電位を持っています。
銅-飽和硫酸銅電極 : +316mV
銀-飽和塩化銀電極 : +196mV
なお、標準水素電極の電位は0Vです。

これらのことから、銅-飽和硫酸銅電極は銀-飽和塩化銀電極より316-196=120mV「貴」(電位が高い)ことになります。

この問題では、「銀-飽和塩化銀電極を用いて-300mV」であったことから、「196mVと比べて-300mV」であることになります。よって、銅-飽和硫酸銅電極(316mV)と比べると、-300-120=-420mVであるということになります。

よって、回答は③です。

なお、標準となる電極を用いないのは、標準水素電極が持ち運んで電極として用いるのは現実的に難しいためで、他の電極を用いることによって試験を行っています。
また、ここで銅-飽和硫酸銅電極との電位差に換算したのは、ASTMの腐食性評価基準に当てはめるためです。

(  B  )、(  C  )

次に、銅-飽和硫酸銅電極を用いた場合の腐食を判定する評価基準の知識を問う問題です。

ASTMの基準では以下の表のように腐食性の評価基準を定めています。

今回の試験では、(  A  )で求めたように、銅-飽和硫酸銅電極に換算したときの自然電位は-420mVであり、腐食性評価の基準となる-350mVよりも卑であるため、90%以上の確率で「腐食あり」と評価することができます。

表中のtは温度条件を示しており、この問題では25℃という条件ですので、ほとんど数値には関係ありませんね。

よって(  B  )の回答は④(  C  )の回答は①となります。

なお、(  A  )で用いた図に判定基準を記入すると以下のようになります。

電位の+側を「貴」、-側を「卑」と表現することも覚えておきましょう。

まとめ

以上から、正解は以下のようになります。

(  A  )③
(  B  )④
(  C  )①

測定値を評価できる数値に換算する計算をできるように理解しておくことと、評価基準を覚えておくことが重要ですね。

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