ISOとは、 International Organization for Standardization: 国際標準化機構のことを言います。
技術士(建設部門)の問題でも過去何回か触れられてきています。
建設部門の他にも広く関わってくるISOですが、そもそもどんなものなのかを説明していこうと思います。
また、その中には建設部門、土木分野に深く関わるものもあるので、いくつかピックアップして解説していこうと思います。
ISOとは?
前述しましたが、ISOとは国際標準化機構のことで、設立は1947年2月23日、2018年現在で162ヵ国・団体が加入しています。
スイス・ジュネーヴに本部を置く非営利法人で、工業製品、技術、食費安全、農業、医療等様々な分野に関する約2万の規格(ISO規格)を作っています。
現代においてはビジネスが国際化してきて、あらゆる商品や品物が国境を越えて取引されるようになってきました。
一昔前だと、各国それぞれの基準に従ってモノやサービスを作っていれば問題はありませんでしたが、国際化してくればある程度統一化された規格が必要になってきます。
そこで力を発揮するのがISOと言う機関です。
ISOは国際間の取引を推進しており、製品やサービスの世界的な標準化を進めることを目的としています。
「ISO規格を満足している」と言う証明があれば世界中で通用するというメリットがあるんですね。
ISOとJISの違い
ISOと同じような位置付けにあるものとして、JIS( Japanese Industrial Standards :日本工業規格 日本産業企画(※2019年7月に名称変更))があります。
JISとは、工業標準化法に基づき制定される、日本の国家規格のことです。
JISもISOと同じように多数の部門に分類されており、土木及び建築、一般機械、電気・電子、管理システムなどそれぞれ分野に応じてアルファベットと数字が付与されています。JIS Q 9001のような形ですね。
では、ISOとJISはどのように違うのでしょうか?
ISOは前述の通り国際的なモノやサービスの規格のことを指します。一方、JISは日本国内の規格。
基準が2つあるような状態に見えますが、JISの中でISOに同様の規格が存在する場合には、ISOと整合させています。
ISOは英語やフランス語で書かれているのですが、JISが整合を取る場合にはこれを和訳することにより対応しています。
ISOの例
ISO規格には具体的にどのようなものがあるのでしょうか?
ISOの中には大きく分けてモノに関する規格と、マネジメントシステムに関する企画があります。
モノに関する規格は身近なところにいろいろあります。
例えば、案内看板。非常時にどこの国の人も咄嗟に理解できないといけない「非常口マーク」はISO 7010という規格で規定されています。
他にも、電池やネジなどについてもISO規格で定められています。
また、以下の記事で紹介しているSI単位についてもその使い方とともにISO 1000という規格で定められているんですよ。
建設部門に関わるISO規格
様々なISOについて紹介してきましたが、建設部門に関わるものはどのようなものがあるのでしょうか?
前述した「モノ」と「マネジメントシステム」それぞれの規格のうち、建設部門に主に関わってくるのは「マネジメントシステム」の方です。
中でも有名なのが、ISO9001「品質マネジメントシステム」規格とISO14001「環境マネジメントシステム」規格です。
なお、ISOの規格は「ISO9001」や「ISO14001」と言う形で表されますが、ISOの9000番台、14000番台に概要や付随する内容が書いてあったりするので、ISO9000s(シリーズ、ファミリー)やISO14000sと言う形でより広い規格を表現する場合もあります。
ISO9001:品質マネジメントシステム規格
「組織が顧客要求事項及び適用される規制要求事項を満たし、製品を提供する能力を持つことを実証することが必要な場合、並びに顧客満足の向上を目指す場合の品質マネジメントシステムに関する要求事項」を規定したものです。
注意点としては、ISO9001 2008 「序文」で、「品質マネジメントシステムの構造の均一化または文書の画一化が、この規格の意図ではない。」とされており、あくまで要求性能を示していることを理解しておきましょう。
また、「トップマネジメント」についてもこのシリーズで触れられており、組織のトップが積極的に品質マネジメントシステムに関与することを求めています。
もう1点重要なのが、プロセスのアウトソースについてです。
製品の重要なプロセスを外部委託することを禁止はしていませんが、そのプロセスを適切に管理することが求められています。
ISO14001:環境マネジメントシステム
「企業活動、製品及びサービスの環境負荷の低減と言った環境パフォーマンスの改善を継続的に実施するシステムを構築するために要求される規格」のことを言います。
また、「全体的なマネジメントシステムの一部で、環境方針を作成し、実施し、達成し、見直し、かつ維持するための組織の体制、計画活動、責任、慣行、手順、プロセス及び資源を含むもの」とされています。
これもあくまで要求性能を示したものですね。
まとめ
ISO規格は建設部門だけでなく、工業、産業の分野で広く利用されている国際規格です。
ISOを満たせばいい、というような類の規格でなありませんが、自分が製品を選ぶときに、ISOが何者で、どういう意味を持つのかをしっかり理解しおかないといけないでしょう。