開削トンネルとは?-施工手順や特徴について

都市トンネルとして近年多く用いられている工法に「開削トンネル工法」があります。

地上から地盤を開削し、地下にトンネルを構築してから埋め戻すという大規模な工法で、大断面のトンネルを作るときや、トンネルの上部も一緒に整備するときに多く用いられます。

「掘削して埋め戻す」という工程の通りで、開削トンネルは英語で”cut and cover tunnel”と呼ばれています。

今回は、その施工手順をはじめとして、開削トンネルの構造的な特徴や具体例などについてまとめていきたいと思います。

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開削トンネルの施工手順

開削トンネルは、地上から地盤を掘削し、所定の深さまで達してからトンネル本体を構築(ほとんどの場合コンクリート)、その後埋め戻す、という順番で出来上がっていきます。

具体的にどのようなことをしているのか、順を追って見てみましょう。

①土留め壁の構築

トンネルを構築しようとする深さまで何もせずに掘ろうとすると、普通の地盤だと周辺から土がこぼれてきてしまうため、かなり広範囲を掘らなければなりません。

小規模なトンネルや基礎の場合は広範囲で掘っていくことも考えられなくはないですが、土木構造物では普通は用いられません。

開削トンネルを構築する際は、掘削する範囲に土留め壁と呼ばれる壁を構築し、掘削していくのが一般的です。

②掘削

土留め壁の構築ができたら、今度は土留め壁の間を掘削していきます。

掘削をしていくと、土留め壁の内側と外側の側圧に差が出てきて、そのまま掘削を続けると釣り合わなくなってしまいます。

この時は、切梁アンカーボルトなどと言った支保工を設置して、土留め壁を支えていきます。

こういった支保工を設置しない自立式土留めとする場合もありますが、根入れ深さを大きくしなければならず非効率なため、あまり適用されません。

③防水工

所定の深さまで掘削を終えると、今度は防水工と呼ばれる工事をします。

実は、地下構造物を作るときに問題になるのは水(地下水)であることが多いんです。

開削トンネルなどの都市トンネルは、地下水の中(地下水位より下)に作られることが多いです。

これは、水の中にコンクリート構造物を入れたのと同じようなことで、何も対策をしなければトンネルの中に水が浸入してしまい、トンネルとして機能しなくなってしまいます。

そこで必要になるのが防水工

コンクリートを流し込む前に施しておくものを先防水、硬化後に施すのを後防水と呼んだりしますね。

④トンネル構築

防水工を仕込んでからコンクリートを流し込むのですが、トンネルの全体を一気に仕上げることはできないので、普通は底版から徐々に構築していきます。

底版→側壁・中壁→頂版

と言う形でトンネルを作っていくのですが、構築していく際に邪魔になったり、トンネルのおかげで不要になった支保工は順番に外していくことになります。

また、③で行った防水工も、コンクリートを打ち上げていくのに合わせて設置していきます。

⑤埋め戻し

トンネル本体が出来上がれば、あとは埋め戻しです。

開削トンネルは都市トンネルうちの1つです。トンネルの上部も道路や公園、場合によっては河川などに使われるのが一般的です。

工程の一番後ろになるので急ピッチで行われることが多いですが、上面を安全に使用するために締固めなどしっかり行っていかなければなりません

埋め戻しにより不要になる支保工は撤去していきますが、土留め壁は残置されることが多いですね。

⑥上面整備・トンネル内部工事

最後にトンネルの真上の地上部の整備や、トンネルの内部を目的の通り使えるように工事して完成です。

開削トンネルの特徴

どういうときに用いられる?

開削トンネルは、初期の地下鉄では多く用いられてきた種類のトンネルですが、近年は地下構造物の深度が大きくなっていることや、地下構造物のさらに下にトンネルを構築する場合が多いことから、シールドトンネルを用いる場合が増えています。

ただ、大きな空間が必要だったり、地下で任意の形状の構造物を作りたいときには、この開削工法が用いられています。

開削トンネルの設計

開削トンネルの設計についても簡単に触れておきます。

開削トンネルの設計では、ラーメンモデルを用いて設計することが多いです。

例えば、施工手順で示したような図のトンネルだと、2連ラーメンでモデル化しています。

また、底版・頂版と側壁・中壁の間の三角形になっている部分はハンチと呼ばれています。

この部分も、部材間を剛結とするのに大変重要で、開削トンネルの設計の際は確実に設置されます。

まとめ

開削トンネル工法は都市トンネルとして多く用いられてきた工法で、現在でも都市内で地下構造物を作る際には多く用いられています。

地下構造物は軟弱地盤や地下水など、多くの困難がある中で作られます。

開削トンネルの構造も、そんな中で安全に作れるように技術者の先輩方が考え抜いてきた構造です。

開削トンネルに関わる際は、どの部材、どの部分にどのような意味があるのか考えながら関わっていってください。

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