台風21号で大きな被害-関西国際空港連絡橋のこれから

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2018年9月4日、非常に大きい台風21号が日本列島に直撃し、西日本を中心に非常に大きな被害を受けました。

特に大きな被害を受けた構造物の1つとして、関西国際空港とその対岸を結ぶ連絡橋が挙げられます。

大きなタンカーが橋桁にぶつかり、連絡橋の道路部分が大きく拉げてしまっている姿に衝撃を受けた方も多かったはず。
私もこの映像には衝撃を受けました。

また、インバウンドで元気になっていた関西にとっては、この連絡橋が使えなくなることは関空から来てくれる観光客が減ることを意味しているので、経済に大きな打撃があったのは言うまでもないでしょう。

過去にないような被害を受けた関空連絡橋ですが、今回の被害を受け、そもそもの連絡橋の有り方について疑問が投げかけられています。

今後どのように対応していくべきか?アンケート結果などから考えました

関空連絡橋の概要

概要

関西国際空港連絡橋は大阪府泉佐野市のりんくうタウンと関西国際空港島を結ぶ、橋長3,750m、世界最長のトラス橋で、「スカイゲートブリッジR」の愛称がついています。

関空開港の1994年に開通し、関空と陸上とを結ぶ唯一の陸上アクセスとして利用されています。

連絡橋の上は道路、下に鉄道(JRと南海)が走るような構造になっています。さらに、電気・ガス・水道・電話などのライフラインについてもすべてこの橋が利用されている、とても重要な橋なんです。

このようにひとつの橋に機能を集中させたのは、コストを縮減させるためでした。

施工者

この橋梁を施工したのは戸田建設。1987年に着工、1991年に完成という、この規模の橋梁としては早い工事期間で作られました。完成した1991年には、土木学会田中賞という名誉ある賞に輝いています。

地盤がいいところではありませんが、地震などの災害にも耐えられるように設計されています。

また、航路としては利用されないことから、大型船が通れるような高さにはなっていません

管理者

たくさんある機能をひとつにまとめたことにより、関空連絡橋の管理者は複雑です。

連絡橋の道路部分は、「独立行政法人日本高速道路保有・債務返済機構」(以下、機構)の保有で、管理はNEXCO西日本が行っています。これは他の高速道路と同じスキームですね。

鉄道の部分は、「関西エアポート株式会社」(以下、関空会社)が保有しており、JR西日本と南海電鉄がそれぞれ管理をする形になっています。

このように、機構、国、NEXCO西日本、関空会社、JR西日本、南海電鉄が保有や管理で絡み合っている形になります。

他にも電気・ガス・水道のライフラインも通っているので、関係者はもっと多くなりそうですね。

現状の課題

関西の発展のために無くてはならない関空連絡橋ですが、今回の台風の被害を受け、その課題と思われる部分が浮き彫りになりました。

その課題とは、関空と対岸までが「1本」の「橋梁」でつながっていることに起因します。

同じように1本の橋梁のみで空港と陸地がつながっているような空港に、神戸空港や中部国際空港、北区九州空港があります。

今回の被害をこれらの空港のこれからに活かすためにも、この連絡橋の有り方について考えてみましょう。

連絡橋はなぜ1本なのか?

関空連絡橋建設時、実は代替ルートとして連絡橋を複数本作るべきと言う意見が周辺の自治体からありました。

国内外から多くの利用者が来ると考えられる関西国際空港と陸地とを結ぶアクセスになるので、複数本あった方がリスクマネジメントとしても、地域活性化の観点からもメリットがあると考えられます。

なぜ1本にしたかと言うと、やはり、コストが原因です。

この連絡橋を建設するのに約1,500億円かかったと言われています。このような橋を複数本建設することはそう簡単にはできないのかもしれません。

なぜトンネルではなく橋梁なのか?

今回の台風でも、連絡橋の桁にタンカーが衝突したがためにこのような被害となりました。

では、トンネルで建設しておけばよかったのではないか?という議論が各メディアで起こっています。

全くその通りで、トンネルで建設しておけばタンカーの接触はなかったはずですし、このような被害にはならなかったかもしれません。

でも、トンネルで関空と陸地のアクセスを建設するに至らなかったのも、コストが主な原因と言えます

もちろん、トンネルで繋ぐことも技術的には可能でしょう。しかしながら、接続する高速道路から地下に潜って関空に向けてもう一回地上に出てくるようなトンネルを建設するには大きなコストがかかることが予想されます。また、周辺の軟弱地盤も建設を難しくしている要因の1つです。

一般的にはトンネルと橋梁では橋梁の方がコストが小さいと言われており、このような水中の工事となればその差はより顕著なものになるでしょう。

アンケート結果

先日Twitterで関西国際空港連絡橋が1本でいいか?複数本必要か?と言うことについてアンケートを取らせて頂きました。

ご協力いただいた皆さん、ありがとうございました!

その結果や、頂いたコメントについて紹介します。

結果

私が行ったアンケートの問いはこちらです。

9月の台風で関西国際空港へ向かう連絡橋が大きな被害を受けました。
連絡橋が複数本必要だと言う意見をよくメディアで聞きますが、正直、皆さんはどう思われますか?
コストなども考慮にいれて、総合的に判断してください。
たくさんの方の意見を知りたいので、可能な方はリツイートお願いします。

これに対して156人もの方から回答を頂きました。その結果は・・・

もちろん、偏りがある程度あると思いますが、97人vs59人で「1本で十分」と考える方が多いという結果になりました。

その他の声

このアンケートに対して、何名かの方から意見や考えを頂いたので一部ご紹介します。

中部空港付近に在住してる者ですが、不要と思う。連絡橋を複数作っても、船舶衝突は通常起こらないし、台風が接近すれば全ての橋は通行止めになる。トンネルなら台風の強風の影響が無いが、水没したら、酷い事になりそうです。

海底の地質を知らないからなんとも言えないですけど、掘るかボックスで道作れば良いんじゃないですかね?

日本各地に空港がありますので今回のようになんかあったら近郊の空港を利用して物流確保に務めるべきかと。東名、名神とは違いそれがないと代替できないわけではないのでコスト面や色々な部分から考えるとそれがいちばんいいかと考えます

橋梁であるということは雨風にさらされます。今回のようなタンカー衝突が起こりうるのであればトンネルで結ぶべきと言う意見も頷けます。

一方で、滅多にない非常事態に対しては、橋梁形式はそのままで運用面(ソフト面)で対応すべきという意見もありました。コスト面を考えても、災害に備えるためにはソフト面で対応できるように準備しておくのは関空連絡橋に限らず重要ですね。

今後どのように対応すべきか?

今回の被害を受け、もう一本のバイパスをトンネルで通すという案も出ているようです。

リスクマネジメントや対岸地域の活性化の観点からは良いことだと思いますが、建設にかかるコストを考えるとあまり賛成できません。

今回のような滅多に起こらず、かつ人の努力で防ぐことができる被害に対しては、連絡橋は1本のままで運用面での対応を強化していく必要があると思っています。

日本には周辺住民の住環境への配慮で、海に埋め立て地を作り、空港を設置している空港が関空以外にもあります。

それらの空港も含めて、非常事態時の運用面、それも組織横断的に協力できるような体制づくりが必要と考えます。

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