社会基盤設計の考え方-災害大国日本は大丈夫なのか?

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災害大国日本。近年でも、私たちは地震、津波、台風、豪雨・・・多くの自然災害の被害にあってきました。
人的被害も多く、被害にあわれた方の一刻も早い回復を祈るばかりです。

さて、そんな災害の多いこの日本ですが、の被害を最小限にする、または被害を少しでも遅らせることが社会基盤の役割でもあります。
一方で、いつどこで起きるかわからない自然災害に備えて、構造物は常に万全を期しておく必要があります。
では、維持管理の重要性や働き方改革が叫ばれるこの日本で、社会基盤構造物は私たちを本当に守ってくれているのでしょうか?

日本列島を襲う様々な災害

地震

災害と聞いて真っ先に思い浮かぶのが地震という方も多いのではないでしょうか。
特に東日本大震災が起きてから、震度4程度の地震なんてざらになっていますね。

こんな国、世界中の先進国の中で日本くらいです。

もちろん、社会基盤構造物も地震対策がなされています。

しかしながら、すべての地震に”勝る”ような丈夫な構造物を作ろうと思うと、ものすごく高価になり、すべての構造物をそのレベルまで丈夫にすることはとてもできません。

そこで、日本では、地震に“上手に負ける”構造物が作られています。

すなわち、構造物は地震に対して、「大きく壊れないけど部分的に(使用できるレベルで)壊れて、後で速やかに補修できる」ということを目指して設計されているんです。

津波

東日本大震災で日本に大きな被害を残した津波。
歴史的に見ても、日本は何度も大きな津波に襲われていることがわかります。

地震の多い島国である日本では、地震に伴う津波も発生するリスクが大きいため、当然対策がなされています。

津波を防ぐための構造物として、防波堤防潮堤が挙げられます。
これらは津波を消す、もしくは小さくするのに一役買っています。
東日本大震災でも、当時できたばかりだった防潮堤を津波は越えていったものの、もしこの防潮堤がなければより大きい被害があったのではないかと言われています。

台風・集中豪雨

台風は日本で毎年被害を残していますね。
私は小さいころ、「なぜわざわざ台風は日本列島を通っていくのだろう?」と不思議に思ったものですが、
ちょうど台風の通り道に日本は位置してしまっています。

集中豪雨については、近年特に増えてきました。
まさに”バケツをひっくり返したような”雨が頻繁に降り、土砂崩れなどの被害を残しています。

台風や集中豪雨では、暴風による人や建物への被害もありますが、社会基盤構造物のことを考えると、雨の方が大きな被害を与えているでしょう。

その代表が土砂崩れや河川の増水です。

土砂崩れについては対策は進んでいるものの、そこは山の多い日本列島。対策しきれないのが現状です。
山の麓にお住いの方におかれては、早めの避難が非常に大切です。

一方で、河川の増水による被害を小さくしてくれているのが”ダム”という存在です。
あまりイメージの良くないダムですが、実は河川の増水による被害を小さくしたり、発電に使われたりと現代社会における役割はとても大きいのです。
特に世界的には急流の多い日本なので、集中豪雨の増えた今こそ、このダムの役割をもう一度見直したいところです。

社会基盤設計の考え方

「地震対策は万全」、「津波が来ても大丈夫」と、事の重大さに比べて簡単な言葉で表現されることの多い災害対策。
では、具体的に何をどのくらい考えてそもそもの社会基盤構造物は作られているのでしょうか?

実は、構造物を作るときに、災害対策を考えておくことは重要でありながら難しいことです。

何故か?

ポイントは、リスクをどこまで考えるか?という点です。
詳しく書いていきます。

災害に”完璧に”備えるのは不可能?

そう、すべての災害を社会基盤構造物で完璧に防ぐことは不可能です。
例えば一度やってくると大きな被害は避けられない津波。

絶対に津波を日本列島に到着させないようにしようと思うと、とんでもない大きさの防潮堤、防波堤を列島を取り囲むように作らなければなりません。
(そもそも、それでも大型津波を完全に防ぐのは無理かもしれませんが。)

そうすると、日本周辺の自然環境は?、その構造物の維持管理はどうする?(できる?)、そもそもそんなお金どこにある?etc…

いろいろな大きな問題が出てきます。

もちろん作ろうと思ったら”可能”かもしれません。でも”作るべきかどうか?”というと、答えはNOでしょう。

地震と豪雨は同時に来ない?

2018年6月、近畿地方を大阪北部地震が襲いました。
2018年7月、過去に類を見ない集中豪雨が西日本を襲い、大阪北部地震の被災地にも
大雨が降り注ぎました。

もし、これらが同時に来たら?

考えるだけでもぞっとします。

これは私見ですが、比較的新しい社会基盤構造物であれば、大阪北部地震と西日本集中豪雨が同時に来ても、被害のレベルはこの2つの災害の合計とそれほど変わらないと思います。

ただし、これまで経験したことのないような地震と豪雨が同時に来たときは話は別です。

前述のように、日本の橋やトンネルは、考えられうる最大級の地震(場合によっては東日本大震災レベル以上)が来ても、”崩れない”ようにできています。
ただ、間違えてはならないのは、このような地震が来ると、崩れませんが、”壊れ”ます

そのため、一旦”壊れた”構造物相手に、さらに豪雨などの災害が降りかかると、
被害はさらに大きくなることが予想されるのです。

それでいいの?

これらの考え方は、一般的にはあまり認知されていないかもしれません。

読まれた方によっては、大丈夫か?やばくないか?と思われる方もおられるかもしれません。

これは難しい問題で、発生確率が小さいけれども被害は大きいであろう災害に対して、社会基盤構造物がどの程度対応できるようにしておくか、工学的な判断が求められます。

もちろん、安全であればあるほどいいのですが、お金も人手も無限にあるわけではありません
そのあたりを判断することも、土木技術者の仕事であり、我々が常に考え続けなければならないことであると思います。

まとめ

この記事では、今の社会基盤設計の考え方について書きました。

ただ、この考え方が本当に正しいのか?というのは、実は誰にもわかりません。
将来、何かをきっかけに見直されることがあるかもしれません。

しかしながら、現存する技術、お金、人手などで、どこまでのモノを作るのかという判断を行うことも、大切な技術力です。

私は、今の社会基盤設計の考え方に従って構造物を作ることが一番適切であると考えています。

我々のような技術者は、適切に判断を行えるよう、いろいろな角度の技術力を身に着けておく必要があるでしょう。

もう一つ言えることは、災害が来る時の備えについてです。
繰り返しますが、社会基盤構造物は”完璧”ではありません
というより、そのような考え方で設計されています。

ただ、命を守る行動とることは誰にでもできるはずです。
災害時は、「自分の命は自分で守る」という精神を忘れず、行動をしてください。

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