ドバイの建設現場から見る日本の建設技術輸出の課題

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先日仕事の関係で、ある国ヨーロッパにドバイ経由で行くことがありました。ドバイでのトランジットで時間が空いたので、観光もかねて市内を回ってみたのですが、偶然見た建設現場で、日本の建設現場との違いや日本の技術輸出の難しさを感じたので紹介します。

ドバイってどんな国?

ドバイと言われてピンとこない方向けに、どういう国なのかまず簡単に紹介します。

ドバイはアラブ首長国連邦のうちのひとつの首長国で、人口は約240万人。国土のほとんどが砂漠地帯で日本と比べると非常に暑いです。

元々の産業の中心は石油で、石油で大金持ちになった国なのですが、石油の埋蔵量が少ないこともあり、石油だけに頼る経済は危ないだろうということで産業の多角化を政策として観光に力を入れ始めました

それからというもの現在にいたるまで建設ラッシュ。砂漠の土地にビルや建物、インフラを作りまくり、そこら中に世界一の高さ、世界一の広さ、世界一の豪華さ・・・などが大量にある国です。

ドバイの土木構造物

それではドバイの土木構造物について紹介していきます。意外と日本とつながりが強いんですよー。

ドバイメトロ

日本人がドバイに行って見ておくべき土木構造物と言えばドバイメトロでしょう。

空港からドバイ市内全体に通っているので、ドバイの観光にはとても便利で、多くの利用者がいるのですが、実はこのドバイメトロ、日本企業が中心となって建設されたことをご存知ですか?

このドバイメトロを建設したのは、三菱商事、三菱重工業、大林組、鹿島建設、ヤピ(トルコ)5社のJV(ジョイントベンチャー)です。

日本で名立たる企業が連なっていますね。すごい大きな事業なのがこの並びだけでもわかりますが、ドバイメトロ全線(レッドライン:29駅、52km、グリーンライン:14駅、18km)を受注した一大事業でした。

金額も当初の予定で3,000億円だったのが、最終的には7,500億円まで膨れ上がりました。日本企業はこの案件で大きな損失を出したとか・・・。

ドバイの建設現場と日本の建設現場の違い

ドバイの建設現場

私が実際に見たドバイの建設現場の写真がこちらです。

これは仕事で現場ヤード内に入った時の写真・・・ではなく、一般人が歩いて入れるところから撮った写真です。

ビル建設の手前のスペースに瓦礫が置いてありますが、そこと公共スペースとの間には仮置きの柵だけです。種類がバラバラなのも気になりますし、間が空いているので入ろうと思えば入れてしまいますね。

建設ラッシュが続いているということもありますが、細かいことは気にしない、ちょっと雑な印象を受けました。

雑なだけならまだ大丈夫かもしれませんが、上の写真のように一般人が簡単に入れるようにしていると、いざというときの安全性は?と少し疑問に思ってしまいますね(これ自体が日本人独特の間隔なのかもしれませんが)。

これだけのスピードで建設を進めていくために、細かいことは気にせずイケイケドンドンで工事が行われているのでしょう。

日本の建設現場

では、日本の建設現場はどうでしょうか?

こちらは、仕事で関西に行ったときに偶然通りがかったところにあった、ビルの建設現場です。

万能塀(白い板)で囲まれ、出入り口も現場が動いているときにはきちんと開くように扉が付けられています。

この写真だと中はあまり見えませんが、少なくとも瓦礫が山積みみたいなことはありませんでした。

この写真を見て特別だと思う方は少ないと思うのですが、日本の建設現場は非常に整然としていて、(諸外国と比べると)徹底してルールが守られているんです。

ただ、建設現場での事故は後を絶たないので、まだまだ安全管理は必要ですけどね。

日本の技術輸出について

日本の建設技術の現状

現在、日本では一昔前と比べると建設現場は少なくなっており、仕事を獲得するために海外に出ていこうとしている企業が多いかと思います。

日本国内にもたくさんの仕事はあるのですが、一昔前と比べて新規の建設など大きな仕事が減っているのは事実なので、この流れは必然だと思います。

日本は元々災害が多く、災害に対して丈夫な土木構造物を作ってきました。

(災害に関する記事はこちら:社会基盤設計の考え方-災害大国日本は大丈夫なのか?

災害に強くしなければならないのに加え、国土が狭いということもあって複雑な構造物が数多くあり、高度な技術力を持っているというのが特徴です。(最近は海外の技術力も非常に高度ですが、まだ平均としては高い技術力を誇っていると私は考えています。)

また、国民性からでしょうか、建設現場でもルールを一つ一つしっかり守って仕事をしてきています。

逆に、ルールをしっかり守らず、周りの住民に少しでも迷惑が掛かれば大きな問題になるという側面もあり、しっかりとした現場管理がなされているというのも特徴のひとつです。

考えられる課題

前述したような日本の建設現場の特徴から考えられる課題がひとつあります。

それは「コスト」です。

しっかりとした構造物を作るのには当然お金と時間がかかります。

また、安全管理を徹底しようとすると、本設構造物以外の部分に多くのお金と手間がかかり、結果的に工事費は増大してしまいます。

では、ドバイなどに代表される海外の現場はと言うと、スピードが重視され、上の写真のように安全性についてはちょっと蔑ろにされている部分があるかもしれません。

コストが高い方と安い方、海外の発注者はどちらを取るでしょうか?

それは安い方ですよね。

“日本製”はコストが高い分品質がいいかもしれませんが、今のところ海外では安い方が選ばれる場合が多いのです。

この辺が日本企業が海外で苦戦を強いられている大きな理由です。

日本企業はどうすべきか?

だったらコストを取って安全の管理をちょっと甘くしようとか、仕上がりを雑にしよう、という話が出てくると思います。

後者はまだ許されるかもしれませんが、前者は許されません。許してはならないと思います。

それが、日本の土木技術が築き上げてきた”ブランド”だからです。

そんな中での解決策は、やはり「技術力」でしょう。

3Dモデルを用いた現場業務の省力化、ドローンを用いた点検、タブレット端末を用いた情報共有など、既に世の中にあるいろんな技術でもまだまだ土木分野に馴染んでいないものがたくさんあります。

これらを世界に先んじて導入して”馴染ませる”ことで、工事でのいろいろな業務の効率化につながるはずです。

働き方改革が各所で唱えられている昨今ですが、こういう部分にもいろいろな技術を導入することで、大切な安全管理に注力ができると思っています。

これまで日本で培ったものを、これから海外で活躍させる

難しい面はたくさんあるでしょうが、そういう将来が来るといいですね。

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